いちからなし

新米梨農家のあれこれ

花採り

梨の花がきれいに咲いた〜♡

などと言っている場合ではありません。

 

花を採ります。いえ、むしろ、もぎ取ります。

ぶっちぶっち、と。

 

交配作業と並行して、来年に向けた作業が始まっています。

昨年の花粉作りが発芽率ほぼゼロという大失敗に終わり、今年こそ!なのです。

 

花粉用に剪定しないでとっておいた豊水f:id:ichi-nashi:20240403140354j:image

こんな感じの花が、採るのに良い時期です。

 

開花してしばらく経ってしまうと花粉がなくなってしまうし、まだ蕾が小さいものは採れない。

いまにも咲きそう!な、花びらがめくれかけているものが絶妙だそうです。

 

これも良い感じ。
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あまり選っている時間もないのですが、ついつい。

 

ちなみに夫は、細かく見ずぶちぶちっといきます。

 

 

この時期、梨農家はとても忙しいです。

 

 

 

   ナマケモノは、出番なし?

トンネル幸水交配

夕暮れの花です。

翌日は交配できそうな気配。
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翌日は、いよいよ交配!
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この、交配が、これまた一悶着ありました。

 

昨年作った花粉ですが、使用前に発芽率のテストに出したところ、「ほとんど発芽しない」という結果が返ってきてしまいました。

 

   なんと!

 

びっくりする程発芽しなかったんでしょう、きっと。

これでは、交配しても実が成りません。

 

心配した関係機関から、花粉を回して貰えました。(もちろん、有料ですよ。高かった!)

 

原因は恐らく、花粉を採取してから冷凍保存するまでしばら〜く、冷蔵庫に放置してしまったから、だと思います。

 

花粉採取は、発芽率を意識せねばならぬ!と、学びました。

 

取れば良いってもんじゃないんですね。

 

 

 

 

 

 

ジョイント

植え終わった幸水の苗ですが、ジョイント作業を始めました。

 

まず、道具は何が必要か?

 

  • 接木ナイフ または 小さいカンナ

どちらでも良いそうです。

やり方を見せてくれた先輩農家さんはカンナを使っていましたが、私たちはジョイント自体初めてなので、両方試しに使ってみよう、と両方購入しました。

接ぎ木ナイフは片刃。私がするなら左利き用も必要だったので、この際、購入。

右利き用に比べ、左利き用接ぎ木ナイフ、選択肢がとても少なかったです。

 

  • 枝を固定するもの

リピートタイや結束バンド または ビニールテープ

くっつけた枝が離れなければ良い。

リピートタイを使っても、外してまた使うことはあまりないかも?

うちでは、剪定の時にビニールテープを沢山買っていたので、ビニールテープを使用。

 

  • 乾燥を防ぐ薬剤(?)

木の皮を剥ぐので、むき出しになった所が乾燥してしまわない様にします。

剪定の時は殺菌剤の入った木工用ボンド(バッチレートなど)を使いますが、接ぎ木の時は少し違ったペースト状の、カルスメイトというもの。基本成分はやはり木工用ボンドと似たようなものです。結構どこでも買えますが、チューブタイプの物は100ml のものと150mlのものがあるので、値段を比べる時には要注意!農家御用達?の田舎の独り勝ち組織よりも大手ECサイトが断然安かった!

 

 

雨が入るのは良くないそうなので、晴れた日に初ジョイント、してみました。

私の目線より高い位置でジョイントなので、足台置いたりしている時間的余裕があまり無かった為、夫にやってもらうことになりました。

 

カンナをかけて、微調整はナイフで。
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枝の中と皮の間にある形成層と呼ばれる緑色の部分を、上下の枝で合わせます。

全部の形成層を合わせるのは無理でも、できるだけ長く。
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ここ!という場所で固定。

ビニールテープを巻く時は、上に出ている芽はちゃんと出すように気を付けて。
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巻いたビニールテープの上からさらにカルスメイトをべったべった、と。
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動きにくい様に、線ごとテープで巻きました。

風などで揺れてパカッと外れてしまわないように。

 

 

次の冬、剪定の時にテープをはがします。

上手く枝同士の形成層がくっついていれば、成功です。

 

 

 

これを、植えた苗木全部にやる予定です。

長さが足りないものが多いので、すぐに全部は無理ですが。

花芽がだんだん大きくなってきて

蕾が出てきた花芽が増えてきました。

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わさわさと、ふくらんでおります。
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こうなってくると、摘蕾と呼ばれる作業が出来るようになってきます。

 

咲いて、交配しても変形した形になりがちだったり、大きくならない傾向にある蕾を落としていく作業です。

 

特に、双子花と呼ばれるものが結構な数あるので、落としていきます。

こんな花芽です。
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本来、葉になるはずだった所が蕾になってしまったとか。

 

こうして、取ります。
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双子部分が無くなった状態。
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蕾はひとつの花芽に8〜10個程あります。

それ以上あれば、何処かに双子花が混ざっているはずなのですが…。

 

この花芽には、10個蕾があります。
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何処か落とすべきなのか??

初心者には、なかなか難しいです。

新梢の芽

この冬、剪定の時。

主枝から上に向かって出ている枝に切れ目を入れてビニールテープを巻いて折る!

という方法をとっていました。

 

色々効果・理由はある様ですが、夫がどっかで勉強してきて、実践してみた次第で。

主に梨の実の為にとっていた方法だったと思いますが、芽にも良かったみたいです。

 

折った枝の元から芽が出てきています。

これが上手く枝になってくれれば、来年は使えます。

 

こんなに分かりやすく芽が出てくるなんて、ちょっとびっくりです。

花芽がどんどん

花芽が大きくなり始めています。


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早い所だけでなく、あっちもこっちも。
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このくらいの芽の状態、「鱗包脱落(肥大)期(20%)」と呼びます。

昨日は夫が消毒を行いました。

 

今後は、芽の状態と天気を見ながら、次々と消毒をしていく事になります。

夫が。

 

・・・私?

消毒は朝早くから行うことが多いので(風があまり無いうちに)、朝のワンオペ率が高くなるくらいかな。

 

豊水

剪定をする前の様な、この姿。

 

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豊水です。

 

とっても大事な、花採り用。

 

 

梨の火傷病が中国で発生したのを受け、今までだいぶ頼ってきた中国からの輸入花粉の使用に、梨農家は全面的にストップをかけられました。

 

初心者の私の理解としては、病気にはいまいちピンとこないけど、国内でもし発生したら、半径何メートル以内にある梨の木は全部伐採、とかいう事態になるのかな、といった理解です。

 

昨年、とりあえず、で花とり・花粉とりをやった時は、「こんな作業もあるんだなぁ、輸入花粉があるならそれ使えば良くない?」くらいにしか思っていなかったけど、こうなっては、やっておいて良かったと思います。かろうじて、今年の交配作業に使う量の花粉は手元にあります。初めてだから発芽率が微妙かもしれないけど。

 

つい先日は、近くのハウスに市やら県やらの車がずらり。

どうやら、花粉の確保に協力してくれた農家さんのハウスで(既に開花しています)、総力で花採り・花粉採りを行っていた様子。

 

 

今年はうちも、しっかり花採り・花粉作りをやらなくては。